6.カバ本
カバの情報収集です。
口では「何も知らないので教えて下さいね」といいながら、
まっさらな状態で会いにいけるほど私、図太くないのです。
では、数少ないカバ本をざっと眺めてみましょう。
古い順に、まず西山登志雄『河馬的文明論』(1972年、ブロンズ社)西山登志雄! 日本カバ界でプラチナ級のVery Important Person。戦後すぐに中学校をボイコットし親に内証で上野動物園で働き出した氏は、30余年にわたりカバやライオンの飼育係を務めます。ああ見えて神経質なカバの信頼を得た稀有なお方。VIPのゆえんです。東武動物公園の初代園長となり「カバ園長」と呼ばれました(06年に他界した折に「かば園長葬儀式場」と看板を出したのもたぶん遺言)。厳密には、カバにだけフィーチャーしたわけではないものの、氏の鷹揚な変人っぷりが筆にも乗った名著です。登場するカバはデカオにザブコ、オヤジという名のラクダもいます。このいさぎよいネーミングセンス、昨今の親にも見習ってほしいところ。
神保町の虔十書林で500円
◁ 宮嶋康彦『河馬の方舟』(1987年、朝日新聞社)右は改訂版の『日本カバ物語』。増補文庫版『だからカバの話』もあるフォトジャーナリストの宮嶋氏による「朝日ジャーナル」連載をまとめたもの。日本の動物園のカバがほぼ「重吉&福子」(名古屋東山動物園)の子孫という事実をつきつけ、安易な近親交配を繰り返す動物園の在り方を変えました。本当はもっと変えたい社会派なので、表も裏も知りたい人向き(他『カバ KIBOKO』がある)。それにしても、本場のカバも沢山見た上で日本カバ史を通暁。凄い人です。
『カバに会う―日本全国河馬めぐり』坪内稔典著(2008年、岩波書店)
- 社会派の宮嶋氏に対し文系のカバ派といえばカバを求めて日本中の動物園を踏破した、俳人の坪内ネンテンさん。旅しながら文学中のカバに迫ります。ご自分の忌日は芥川の河童忌ならぬ「河馬忌」とするよう、遺言してるに違いありません。
- 「桜散るあなたも河馬になりなさい」の名句は、「カバのように見る。カバのようにふるまう。カバのように発想する」ことで自分の殻を破りたい、そう願ってみずからに言い聞かせたものだといいます。なんか泣ける……。いちばん私のカバ時間に沿う本かもしれません。ゆっくり売れ続けているというのも納得です。
ここに挙げた本、『カバに会う』以外は残念ながら流通していません。
どれに何が書いてあったのか今となっては記憶が曖昧ですが、味わいは三者三様。どれもおすすめです。
2012-09-09 00:06
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0