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15. 上野動物園ふたたび


20年ぶりの訪問から二週間も経たない頃、また上野動物園に出掛けました。

本にはヒポミさんのコレクションからは独立した読み物のページが入ります。
ウンチクなど博物学的分野はプロの力を借りようということで、
教育普及課の主任学芸員、井内岳志さんに執筆のお願いに行ったのです。

この日、園は地震の影響による休園中。裏口から入れてもらいます。
動物の世話は年中無休ですから、多くの人が作業着で働いていました。

ザ・文系の我々にとって理系の人というのはめったに会う機会のない、いわば珍人種です。
園内の事務所で対面した井内さんの理系キャラに、私の目はクギづけになりました。
しゃべってる間はニコニコ、で、話を終えた途端、スイッチを切ったように無表情になるのです。
小一時間も機械仕掛けの人形のような話芸を堪能しているうち、あやうく惚れそうになります。
なんとか踏みとどまって、ウンチクの他、上野動物園のカバ史についても書いてもらうことにしました。

打ち合わせの後、井内さんが園内を案内してくれます。(解説付き!)
貸し切りです。天皇家でもない限りあり得ない、一生自慢のタネにできる稀有な体験です。
……ちょうどこのころ、本来なら来日したてのパンダが公開されているはずでした。


さて動物園といえば、子供たち。

ヒポミショック以前のわたくし同様、たいていの人はカバと関係なく日々を過ごしているので、
こちらが「カバ」と口にした時、不意を突かれたような顔になります。
一方、子供たちが大人のようにポカンとすることはありません。
「ああ、カバね」と、万端の受け入れ態勢が整っています。

というのも、赤ちゃんが浴びる名詞シャワーは、そのほとんどが果物と色と動物。
小さければ小さいほど、脳みその中で動物が占める割合は大きいことになります。
だからカバなんて、子供らにとってはほとんど隣のおじさんみたいなものなのです。
その証拠に、小さい子はヴィヴィッドな原色が好きというけれど、
「カバって色が地味でつまんなーい」などと不平を並べる幼児は皆無です。

ちなみに小学生以下の子どもは必ず好きな色を訊いてくるので、
子供と話しなれていない人は、万一に備えて答えを用意しておいたほうがよいでしょう。
あるいは好きな動物を訊かれたら即座に「カバ」と答えて、子供たちの反応を確かめてみましょう。

この好き嫌いの構図、子供ならではの単純な話法のようでいて、大人の会話も大差ありません。
仕事がらみで言えば、好きな作家・映画・音楽などは年に何度かは必ず話題になりますからね。

ところで子供たちが言葉を獲得する過程というのは実に愉快。
「上野動物園に行ってきたんだ〜」と自慢したつもりが、
「ふーん。下の動物園は?」
なんてビックリ発言が返ってくるんですから。


マンスリーどうぶつえん.jpg

上野動物園発行の「マンスリーどうぶつえん」

2011年3月号は来日100年を記念したカバ特集で、
右の見開きは「上野のカバ アーカイブ」のページ

居並ぶ歴代のカバを見るにつけ、
個体としてのフォトジェニックぶりに、
改めて感動させられます。




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