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19. ザ・ブックデザイナー


雑談中のことです。

「今度ヴィジュアルがメインの、かばグッズの本を作るんです。
 若い女性デザイナーを探そうかと思っていて」

呟いた相手は、緒方修一さん。
新潮社装幀室出身で、装幀コンクールの審査員も務める大人気の装丁家です。
幻戯書房は、美しい本を作るという故・辺見のこだわりにより、
多くの本を緒方さんにお願いしてきました。

「俺、やるよ」

え?! にわかには信じられず、「何百点も写真の入る、手間のかかるものですよ」と念を押しても、
「雑誌を一冊作ると思えばいいでしょ」と軽〜くおっしゃいます。

「嬉しい……緒方さんがカバに見えてきました!」

私のヒポ教への急激な傾斜ぶりをよく知るM嬢がすかさず「これ、褒め言葉ですから」と注を入れます。
「わかりにくい褒め言葉だねー」と呆れる緒方さんですが、
私の目にはもはや、どうしたってカバに映るのです。

緒方さんにお願いできて本当によかったのは、緒方さんが偉いからではありません。
というより、偉くなるには理由があって、そこが頼りになるといえばいいでしょうか。


ヒポミさんは、5000点以上のコレクションの中から章立てに合ったカバを選択し、
それを並べてみてはページの構成を練り直す、ということを繰り返してくれました。
「かば祭り」で慣れっことはいえ、紙の上での見え方はまた違います。
本には、400点近いカバが登場するのですから、とんでもなく大変な作業だったはずです。

ちなみに、あらかじめ個体ごとのナンバーがついていて、ヒポミさんがそのリストを作ってくれたことは、厖大な点数を扱う作業の上でも大助かりでした。これがまた、「hp00000」という形なものだから、五桁のナンバーを見てるだけでも愛らしいし、ナンバーが並んでいれば「同時に捕獲したのね」などと想像も膨らみます。写真+来歴+ナンバーの複合情報で、実にナラティブな本になりました。


で、大体の構成が固まると、緒方さんに見てもらいます。
我々(ヒポミ&A子)はカバの魅力を「ユーモアとエレガンスが同居する奇跡」に定めたのですが、
このコンセプトに沿った取捨選択に苦心するあまり、
本としての複合的な見せ方にまで考えが及ばないことがありました。

そんなとき、足りないものを客観的に指摘し、補ってくれたのが、
緒方修一というブックデザイナーなのです。


緒方さんともやりとりを何度も繰り返し、最後までバタバタしながら、今やっと、印刷に回っています。
目標の10月中を少しオーバーしてしまいましたが、11月10日には全国に届けられる予定です!

それぞれのページがストーリーを持って展開し、カバがいっそう輝いた、と自負しております。


天王寺動物園ピン.jpg




大阪の天王寺動物園のピン、なんとおしゃれ!
これじゃあもったいなくて台座の紙から外せません。

このカバを捕獲したリブロ池袋といえば、
15年ほど前までとにかくお世話になった本屋さん。
月日はめぐります。










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